愛犬がおとなしく寝ているなぁ〜と思ったら執拗に前肢の先を舐めているってことありますね。
猛烈にクックックと力を入れて太ももに、内股に顔を突っ込んでいるなって思ったら夢中で家というか皮膚を口先でかじりむしっている時ってありますね。
これはなぜでしょう。
30年以上をトレーニングを中心に家庭犬に携わり、多くの機会で飼い主の代役として獣医師と相談しあった経験を綴りたいと思います。
先に述べると、私の経験では「皮膚炎」で今回のタイトルのような悩みや問題に至ったケースは少ないと認識しています。
愛犬が足を舐める/かじる 症状は大きく分けて2つ
各ステップ、おおよそ2つのグループに分けることができます。
執拗に舐める
「舐める」は、単純に解説すると「愛犬自らによる過剰なお手入れ」と呼ぶことができると考えます。
中手部周辺
人でいうなら「手の甲」付近を舐めている
パッド周辺
足裏、肉球またはパッド(Pad)付近を舐めている
執着してかじる
*ここで言う「かじる」は、実際には「つまみ噛む」と考えています。英語の表現ならば工具のニッパーの由来「Nip」であり「つまむ」です
後肢の表面
飛節(ひせつ)や太もも表面のを毛繕いするようにかじる
内腿周辺
太ももの内側前方を毛を引き抜くようにかじる
愛犬が足を舐める/かじる 推察できる原因は3つ
お手入れ
先に述べた「愛犬自らによる過剰なお手入れ」になります。
逆に言えば「舐める」問題行動は、「かじる」問題行動よりもとても「軽症」と言えるかもしれません。
足を舐める問題というか心配の原因としては、肉球を舐め続けるケースが一番多いと思います。
理由は、犬の肉球には「汗腺」があります。つまり「汗」をかきます。
汗が出る季節となると5月〜10月でありとても湿度が高い時期です。
汗が出れば、その後に蒸れて香りが強くなります。
強い匂いが愛犬の鼻の下から「プ〜〜〜〜ンッ」と匂うのです。
気になりますよね。
そこでクンクンして舐め始めます。
唾液がついて・・・さらに蒸れます。
この順序を繰り返すと次第に肉球の間の皮膚がタダれて皮膚炎の粘液も出てきます。
雑菌も繁殖しやすくなり、炎症がひどくなることが予想できます。
困った結果のスパイラルに入ってしまうのです。
長時間の愛犬の足先を舐める行動の繰り返しは慢性化を誘発します。
精神
理由はさておき、精神の抑圧された状態が続くと脳が「これ以上は心が耐えられません!」と危険信号を発信します。
当然、無意識であってもその信号に対して動物は「何かしなくっちゃ!」と行動を取ろうとします。
何をしたら良いのかわからない混乱と何かしようと命じる危険回避のシグナルとの折り合いをつける行動があります。
心理学用語でいう「常同行動」です。
例えは
- 貧乏ゆすり
- 爪噛み行動
- 尻尾を追いかけてグルグル回り続ける
- 頭を掻く
などでしょう。(わかりやすいように人に発症する事例も上げています)
大切なことは「その行動そのものに意味は無い」と言うことです。
過去
常同行動は、現在の心理的なコンディションを理由に起きるわけではありません。
幼犬時に狭いサークルに必要以上に閉じ込められ、本能的に体を作るために「動きなさい!」という心の衝動と現実との狭間で心が疲弊し、窮地からの脱却行動として足先をかじるようになり、長期間の繰り返しにより常習的行動に移行した場合です。
習慣化された行動は、日常の行動となります。
現在
日頃キャリーケースなど狭いエリアに長時間居続けたことがない愛犬が、飼い主の旅行などでホテルを利用した場合などです。
いきなり行動を制限されると愛犬は自身の「活動を欲する感情」のコントロールに慣れておらず心が疲弊します。
その窮地からの脱却行動として視界にフワッと映った自分の尻尾を追いかけて「仕事」を見つけて心労の解放を取るようになります。
疾患
関節炎
*写真はイメージであり何かの病気を指摘するものではありません
股関節や膝蓋骨の炎症などによる「痛み」に対して、愛犬たちは人のように「摩る」「叩く(マッサージ)」などの労わる行動が取れません。
まして「痛いよー!」と苦痛を私たちに訴える表現方法を知りません。
愛犬がお散歩や部屋の中を歩いた時に腿の付け根にチクチクした痛みが走るとします。
すると前肢を使って撫でることができない愛犬は口を使ってボリボリ掻く代わりに(英語のNip)「摘み噛む」行動を選びます。
トイプードルなどで足回りに刈り込みのような、周辺よりも極端に毛の長さが短い部分があったならば注意が必要です。
眼病
前肢の足先を過剰に舐めたりかじる症例です。
なぜ眼病なの?って思いますよね。
目の炎症により痒みがあると前肢で目を擦ります。
トイプードルが現在国内で最大頭数なのでプードルを例に解説します。
本来トイプードルは、前肢の親指は取り除くことになっています。
しかし、大量繁殖の中では狼爪と呼ばれる親指が残っているワンちゃんが多いです。
*私としては本来の「狼爪」は今回の部位と違っていると学びましたが一般的に広まっているので親指を「狼爪」として解説します。
話が戻りますが、目の炎症が生じて痒みを愛犬が感じると前肢で目を擦ります。
その際に狼爪があると、無い子に比べて高い確率で狼爪で眼球を傷つけてしまいます。
傷つけなくとも、やはり涙の分泌量は炎症で増えています。
眼球周辺を擦った愛犬の前肢には涙の成分が付着します。
涙なので味がします。
時間の経過と共に雑菌繁殖もあり、その匂いは強くなります。
愛犬の鼻の下で匂いがするので執拗に舐め始めるというスパイラルです。