最近の市販のドッグフード市場では、特にプレミアム・ドッグフード市場では「グレインフリー(穀物不使用)」が普及しています。
通販で人気のモグワンやカナガンなどのシリーズでは当然のようにグレインフリーですね。
本当に穀物は愛犬の日々の食事に必要はないのでしょうか?
私の30数年の犬の専門家としての肌感覚では「特に問題がなければ一般的な市販ドッグフードを与え続け、病気など症状にとってグレインフリーが最適ならば変更する」という考えでした。
正解なのか、間違った考えなのか。
しっかりとドッグフードの「グレインフリー(穀物不使用)」を理解した上で日々の愛犬の食事を考えるタイミングに来ているのかもしれません。
一緒に学んでみましょう!
穀物不使用に対する疑問
私がグレインフリー(穀物不使用)に疑問を持つ理由は大きく分けて2点あります。
- 穀物はドッグフードのカサ増しという批判説
- 療法食としてのドッグフードの多くに穀物が含まれている
- 穀物はドッグフードのカサ増しという説
この説、発言はあまりにも幼稚すぎませんか?
ハッキリ言ってドッグフードメーカーはペットビジネスにおいてもっとも資本の大きい(お金持ち)企業が関わっています。
やろうと思えば何でも製造し、販売できます。
「なんでも」の中には、
- ドッグフードに添加するサプリ、カルシウム剤や各種ビタミン剤の製造販売
- おやつ類の製造販売
などです。
しかし、ドッグフードへの添加商品やおやつの開発を基本的に行いません。
理由は至ってシンプルです。
「ペットの食事には、摂取する栄養のバランスが最も重要である」
という信念があるからです。
子犬に良いと言われるカルシウムも与え過ぎれば骨の変形を誘発します。
骨の成長には、カルシウムとリンとビタミンD(太陽光)が必要であり、それぞれの理想的な比率も決まっています。
売れるからと手を出す行為が、自分たちの主力製品の成果を脅かす結果を引き起こしたり、発信している情報と信念に一貫性を欠く恐れが考えられるからです。
②療養食としてのドッグフードの多くに穀物が含まれている
愛犬が病になった時、持病を抱えた時に獣医師に処方を受けて与える食事をドッグフード含め「療法食」と呼びます。
愛犬の体調を日常生活が送れるように支えるドッグフードです。
そのような重要な食事である療法食用ドッグフードでは、グレインフリー(穀物不使用)をほとんど見ていません。
確かに一部(例えばイタリア初のペッツソリューション)では取り扱っています。
現時点では、その比率は極めて低いといえます。
穀物について学ぼう!
「穀物」とは?
栄養成分について
穀物の部位による含有成分の違い
穀物は採用する部位によって含まれる栄養素が違います。私たちの食事でも「白米は、精米時に多くのミネラルを落としているので玄米の方が栄養に優れいてる。」など話題になりますね。アレと同じです。例えば・・・
小麦部位 | 含まれる成分 |
小麦麦芽 | ビタミン類、必須脂肪酸、抗酸化成分を豊富に含む |
小麦ブラン(ぬかに使われる) | 食物繊維、ビタミン類を豊富に含む |
小麦グルテン | 優れた植物性タンパク質を豊富に含む |
*籾殻については、消化がされないことからドッグフードへの採用はされません。
主な参考資料:ロイヤルカナン<犬と猫の栄養成分辞典>より
穀物不使用(グレインフリー)とは?
穀物不使用にする理由とは?
理由は2つ考えられます。
- アレルギーの抑制
- 消化ストレスの抑制
-
アレルギーの抑制
植物性タンパク質も「タンパク質」である以上アレルギーのリスクがあります。
ドッグフードに穀物を含めないことで生じるリスクを排除することができます。
②消化ストレスの抑制
穀物は、メリットとして「食物繊維」が豊富です。しかし、このことは同時に「消化ストレス」にもなります。
なかなか消化が終わらないことは、胃や腸を長い時間活動させなければなりません。
代替えの炭水化物、デンプン成分としてジャガイモやエンドウ豆を使用することで高い消化性を達成し「消化ストレス」を抑制します。
グレインフリーをもっと知ろう!
しっかりと理解!「グレイン」と「グルテン」
グレインフリー
グルテンフリー
グルテンは、穀物(グレイン)を製粉という加工により誕生した「純粋なタンパク質」になります。
一般的には、麦を「擦る」加工により抽出されたものを意味します。
グルテンフリーのドッグフードとは、このようなタンパク質を含まないドッグフードという意味となります。
ドッグフードに穀物(グレイン)が含まれている理由は?
ここまで学んできましたが、これではドッグフードはグレインフリーを選んだ方が良い感じがしますね。
なぜ多くのドッグフードにはグレイン(穀物)が含まれているのでしょうか?
穀物の重要性について
じつは、穀物は犬の年齢や病の症状など特別な対応ポイントにおいて摂取する「栄養成分」を細やかに調整するバランサーとして欠かせない栄養源なのです。
愛犬の状態 | 効果 |
腎臓病 | 腎臓病に対して有効な対処の一つに「リン」を低減することがあります。対処によって延命した症例が報告されているようです。小麦グルテンやコーングルテンは、消化性が高く、良質なタンパク質なのですが、その上に「リン」の含有量が少ない特性があります。腎疾患のワンちゃん用ドッグフードには小麦やトウモロコシが原材料として採用されます。 |
高齢 |
動物には、本来は老化の原因になる過剰な活性酸素を排除する機能があります。あなたも聞いたことがあるでしょう「抗酸化作用」と呼ばれるものです。 高齢化すると犬も抗酸化力が低下します。そこで複数の抗酸化成分を食事によって摂取することが大切になります。 抗酸化作用を補助する食品成分の原材料としては、1例としてトウモロコシや麦芽を含む小麦が用いられています。 |
皮膚や皮毛のコンディション |
アミノ酸でも「メチオニン」「シスチン」の含有量が多いコーングルテンが有効なのでトウモロコシを採用しています。
|
泌尿器を改善 |
参考資料:ロイヤルカナン<犬と猫の栄養成分辞典>より
ドッグフードにおいて最も重要な「栄養のバランス」を達成するために穀物は大きな役割を担っていたのです。
結論として穀物(グレイン)は与えるべき?与えないべき?
穀物(グレイン)は食物アレルギーを起こすから与えないが正解?
穀物が原因のアレルギーの発症率は比較的少ないとされています。
植物には植物性の「タンパク質」が含まれています。
食物アレルギーとは「吸収されたタンパク質を体への遺物と認識して起こる体の防衛反応」です。
つまり「タンパク質」であればすべての食物がアレルギーの原因となる可能性があります。
ただし、牛肉をはじめ「動物性タンパク質」よりも穀物による「植物性タンパク質」のアレルギー発症率は低いと考えられています。
穀物(グレイン)の持つ効能
穀物(グレイン)には、タンパク質、脂肪、炭水化物の三大栄養素以外の体に必要な栄養をバランス良くコントロールする働きが期待されています。
消化の負担について
穀物に含まれるデンプン質は、加熱調理する前の状態では人間でも消化できません。ベータ状態ですね。
米であれば、人は水で洗い、水分を吸収させて、加熱して調理し、消化吸収できる状態に変化させています。アルファ状態ですね。
ドッグフードに含まれる穀物(グレイン)は、当然愛犬が吸収できる状態に調理されています。
そして、愛犬が「吸収できる量」に調整されていることがポイントです。
大手メーカーは、資金力により十分な研究機関を持ち、その結果、穀物を適切な調理法により愛犬が吸収できる状態に変えて、遠密な研究成果によって、愛犬が吸収できる量を探し出してドッグフードという製品に仕上げています。
全てのワンちゃんがとはいえませんが、心配する必要はないのではないでしょうか。
結果発表!
皆さんと一緒に学んだ今回の記事です。
あなたはどう感じましたか?
私の答えは、
「特に獣医師から指摘を受ける医療的な問題がなければ穀物も含んだドッグフードを与えます。仮に愛犬が高齢になったり、疾病を持つような状態になった際には、その症状に合わせてグルテンフリーを採用しているドッグフードも検討することにします。
追伸
ワンちゃんは元々肉食ではなかった!
今回の調べでは、ロイヤルカナンさんの「犬と猫の栄養成分時点_」にお世話になりました。
その中で見つけたのがタイトルの「ワンちゃんは元々肉食ではなかったの?」というQ&Aです。
その解説では、ワンちゃんの祖先は100〜200万年前のハイイロオオカミと言われているそうです。
オオカミ=肉食のイメージだけれど、ハイイロオオカミは雑食性だったとわかっているそうです。
約3万年前から人と暮らすようになり、農作業によって収穫された穀物を食べる機会が増えました。
そんな経緯からデンプンの消化能力がさらに向上したそうです。これは遺伝子レベルで証明がすでにできているそうです。