トイプードルの大きさ「体型の小型化(サイズダウン)」への警告
小さいトイプードルは可愛いですね!
しかし、そのトイプードルの健全な暮らしを守る観点からは、その大きさは単純に小さくて良いわけではありません。
血統書の発行管理をしているジャパン・ケネルクラブ(JKC)では、ドッグショーへの参加条件にトイプードルの体重は2,3kg以上と指導しています。これは健康を大前提としたトイプードルを保護するために発信されている重要な情報です。
トイプードルの大きさ 成長はいつまで続くのでしょうか?
1つの犬種でも、飼い主の好みによってヘアスタイルをアレンジし、他の人との差別化、オリジナリティーを表現できるトイプードル。
毛も抜けず、賢いので初めて飼うワンちゃんとしてもとても人気があります!
しかし、このプードルは小さいですよと言われて購入したのに3、4、5キロ「エッ5kgオーバー!?」とビックリしている飼い主も多いですね。
購入時点でおおよその大きさ、体重などを説明する責任が監督官庁からの指導で販売店には課せられています。
しかし、はっきり言います!!
この販売店側の責任の明確化によりトラブルの回避が収まることはありません。
トイプードルの大きく成長したトラブルの原因とは?
その理由を解説します。
トイプードルの大きさによるトラブルの原因
- メディアの情報操作
- 茶系プードルの歴史の短さとインターネット普及
- プードルの歴史
上記が大きな理由と考えます。
①メディアの情報操作
じつは私が書いている「トイプードルはじめての飼い方・しつけ方」(日本文芸社)などの実用書もそうです。まして人気犬種を特集したムック本や雑誌は、その多くが大都市でしか売れていません。
昔の記憶ですから多少間違っているでしょうが、東京周辺6割、大阪周辺2割、名古屋・福岡2割、その他1割的な販売割合です。
つまり局所的な情報を「見栄えがする!」という事で現状の「正しい情報」のように見せて販売しているのがメディアです。
都心部で2kg以下のトイプードルが流行り出しても、ちょっと郊外に離れると普通に5kg程度のトイプードルが販売されていたのが実情です。
現状は、そもそもがスタンダード・プードルからのサイズダウンという遺伝子も鑑みて、体重が3kgを下回るトイプードルは全体の割合から見ると圧倒的に少ないです。
私は、連続8ヶ月間、毎月必ずどこかの雑誌に記事が掲載された経験もあります。
過去の掲載された回数は10数回でしょう。
そこで断言します!
編集ライターさんも「正しい知識」を得ようとしていますが、「正しい知識」を持っている人は数少ないです。
多くの人が、自分の身近で知り得た情報を採用します。
「愛犬の友」が連れてきた請負のライターは「私が教えてやる」と取材中にほざいた事もあります。
記事が世に出ると自分の実力、世の愛犬家は自分を必要としていると勘違いする輩が登場するのは世の常ですね。
②茶系の歴史の短さとインターネット
茶系のトイプードルもじつは50年ほど前から市場にいました。
テディベアというわれるスタイルで特許取っておけばよかったと嘆いている埼玉県の達人もいるくらいです。
日本には、古くから白や黒が輸入され、トリミングやドッグ・ショーの影響から専門家が本気で「正統なトイプードル」の創造に取り組みました。
35年ほど前にシルバーのトイプードルが登場します。
品質のレベルでは白や黒に遠く及ばず、当時は紛い物として扱うと笑われるほど低レベルでした。
そんなシルバーも20年近くの歳月をかけて白や黒に近づくトイプードルとしての「品質」を専門繁殖者の努力により生み出されました。
10数年前に本格的に茶系のトイプードルの登場です。
当時は、ドッグショーに出場させても茶系であるだけで「紛い物」として審査員に見向きもされない時代でした。
どんなに素晴らしい茶系のトイプードルであっても、ショーにおいてその子を1位に選ぶと「目利きのできない審査員」という非難を受けました。
そんな風評被害を恐れて審査員は見事に茶系のトイプードルは見ませんでした。
これは私の出陳者としての体験です!
外国審査員により評価され、日本人の審査員も正統な評価を与えてくれるというのが流れでした。
(後に私の愛犬はチャンピオンを獲得しています)
そういった深刻な問題が公然と存在するほどに茶系のプードルと白・黒・シルバーとのプードル格差は大きかったのです。
品質には、性格(品性)、サイズ、噛み合わせの適正、遺伝的な疾患の有無、骨格構成の問題の有無、など総合的な評価になります。
本来は、シルバーが大きく改善されたように、時間をかけて品質の改善が行われます。
ところが、茶系のトイプードルが流行した時、世はインターネットによる個人から個人への直接販売時代に突入していました。
大ブームの茶系トイプードルであり、購入希望者に対して子犬の数が足りませんでした。
そこで多くのにわかブリーダーが登場します。
「改善」よりも「収益」優先でした。
トイプードルとしての「品質」を知らない繁殖行為ですから、どんなに子犬が生まれても改善どころか欠点をそのまま受け継いだ子犬たちが数多く世に広がりました。
改善を受けない、遺伝的な疾患もハッキリしない血統のトイプードルが広がりすぎています。
多くを期待する考え方に「現実的ではない」と助言します。
三島の苦辛した体験
私も合計100頭近くの茶系の子犬を世に生み出しました。
しかし、もう10年近く前を最後にやめました。
理由は、母犬を上回る良い雄犬がおらず、子犬の質が低下しかしないからです。
それでも私の繁殖学の推を集めてチャンピオンレベルのレッドのメス(MC1枚、MCC1枚取得)を自家繁殖で誕生させることができました。
私は、20年ほど前に六本木でトイプードルブームを迎えました。
トイプードルの飼い方やしつけ本の著者として多くの情報を発信していたので、月に30件以上の購入相談を受けました。
しかし、実際に販売するのは月に2〜3頭でした。
本当に納得できる子犬しか引き渡さなかったからです。
ビルが建つほど儲ける機会を逸しました。笑
その条件は「三島先生がコレだ!と思った子」という1点だけです。
参考になるかわかりませんが、品質の例です。
生後10ヶ月でドッグショーデビューをし、4週間後に合計6回のショー参加回数でチャンピオン完成するほど美しく可愛らしい品質のトイプードルでした! 驚異的な最短Newチャンピオン犬レベルです。
③プードルの歴史
プードルには代表的な2つのお話があります。
1、原産国がフランスになっています。本来はソビエト連邦です。プードルに対してフランス国内で奇抜なカットをしたトリミングが大ブームとなりました。その影響によりあまりにも多くの人々に深く根付いた勘違いを正すのも無理があると判断されて原産国として認めてしまったのです。
2、元来はスタンダードプードルという大型犬であることです。その犬種のサイズの変更、そして固定とは数十年単位で行われるものです。トイプードルは、長い間を体高28センチメートルが適正と決められていました。それが2000年ごろから体高26cmのアメリカ基準に移行しました。この移行は時代の大きな変化となりました。
大切なことは、2の体高基準の変更です。専門的にいうと「スタンダード(犬種標準)の変更」です。
とても長い時間をかけて大型犬を中型のミニチュア・プードルにサイズダウンしました。
そして、さらに時間をかけてトイ・プードルが完成しています。
トイプードルの大きさとして、体高28センチから26センチの変更では、おおよそ1回り小型化したことになります。
体重が2,8kgから2,6kgあたりにダウンしたことになります。
ところが2002年ごろからスタートした茶系のトイプードルの大きさの縮小化は、わずか3〜5年程度で行われました。
体重の違いは、2,6kgから1,8kg程度です。テーカッププードルと呼ばれているサイズです。
はっきり申し上げて、遺伝学上もこの急激なサイズの小型化は異常です。
適切な対応により生産されたものでは無いでしょう。
私の経験では、体重2kg以下のトイプードルにおいて膝関節に問題が無いトイプードルに出会ったことがありません。
「小型のトイプードルの多くが頚椎に異常があり、成長ホルモンの分泌がうまくいっていないのでしょう。」(日本生命科学大学 原先生)というお話を以前にいただいたこともあります。
対して、遺伝学には「覚醒遺伝」なるものがあります。
簡単にいうと「先祖返り」です。
プードルは元来が大型犬ですと先に申し上げています。
よってトイプードルの先祖返りは「大型化」となります。
トイプードルの「大きさトラブル」の結論
アプリコットやレッドといった茶系のトイプードルは、その品質を上げる間もなく大量に世間に広がりました。
それにより、生体の固定された部分が他の色のトイプードルよりも少ないと考えられます。
大きなブームとなり、大量需要が発生しました。
そこで大型のメスに出産させることで多数の子犬を生み出す生産者も多く登場しました。
当然、子犬の中に潜む「大型化」の遺伝子は強くなります。
購入した子犬が大きくなったり、小ぶりで可愛いからと繁殖してみたら、その子犬たちは大型化したという事例が頻発する1つの原因ではないでしょうか。
トイプードルの子犬はいつまで大きくなるのでしょうか?
スモールサイズのトイプードル、何グラムで生まれているの?
私の経験では、120gくらいで生まれていると育てやすく、将来的にもそれほど大きくならないと感じています。
180gを超えているのは、稀に体重3、2kgの母犬からも生まれるのですが、将来もしっかりと大きくなるように思います。
ちなみに体重60グラムで生まれた場合、育てられる繁殖者は限られてきます。
80グラムで生まれた場合は、細やかなケアで正常発育に乗せることができるでしょう。
生まれた時が100グラム以下で成犬時に4kgを超えていたといった話は聞いたことがありません。
トイプードルはいつまで大きくなるの?
その子犬が持つ遺伝的な情報により、成長するタイミングも期間もさまざまなのが本質です。
敢えて言うならば、私の経験では、生後3ヶ月くらいから生後6ヶ月程度までが急激に育つ時期と考えます。
言い換えるならば、生後6ヶ月、もしくは7ヶ月あたりで成長が止まったように見えるのです。
大きくなるトイプードルでは、その「成長が止まる」様子を見せずにグングンと体型の変化を続けます。
もう1つのパターンがあります。
白や黒、シルバーでは感じたことがありません。
茶系の「予想外の巨大化」パターンです。
それは、一旦6ヶ月程度で止まる様子を見せます。
しかし、生後10ヶ月頃を過ぎたあたりで再び成長を始めた時です。
第2時成長期があるパターンです。
「え!?え!?」と思っている間にスッーと3kg前半体型から4kg体型へと変身するして・・・。
トイプードルの成長時期 まとめ
2kg台前半のトイプードルだったら
生後90日の時点で800グラム程度が一つの目処でしょう。
3kg前後のトイプードルだったら
生後90日の時点で1,2キログラム程度が目安
4kgオーバーのトイプードルだったら
生後90日の時点で1、5キログラムを超えてくるとトイプードルでは将来大きくなる可能性があるでしょう
「トイプードルの体重」とは生後何ヶ月の体重なの?
トイプードルの成犬時の大きさは「体高」評価です
体高とは、平な地面から直角にトイプードルのキ甲部に対して線を引いた際の長さになります。
胸の先(首の下の前方やや尖った骨)から尻尾の下(肛門のややした位置)までの長さです。
成犬の体重とは?
そもそも「成犬の体重」ってよく聞くけど何歳の話?って思いませんか?
これ、明確にされていないんです。
明確で無いからこそ、推察するとジャパン・ケネルクラブ(JKC)の「犬種標準書(スタンダードブック)」の「成犬」が採用されていると思います。
これは、人に直すと20歳、最近18歳になりましたが、そのくらいの時の体重という意味になります。
これを基準にするのって無理ないでしょうか?
1歳と6ヶ月くらいで体重は2,4kg〜2,6kg程度と仮定します。
それが、3歳、もしくは去勢や避妊により10%程度の増量で2,6~2,8kg。
4歳以降で2,8~3kgを維持してれば立派なものと考えます。
つまり
これなら優秀でしょう!
年齢 | 増加 | 体重移行イメージ |
生後18ヶ月 | 0 | 2,5kg |
生後24ヶ月 | 3%増 | 2,6kg |
生後36ヶ月 | 5% | 2.65kg |
生後48ヶ月以降 | 10% | 2.75kg |
気をつけたいのはこちら
年齢 | 増加 | 体重移行イメージ |
生後18ヶ月 | +0.5 | 3kg |
生後24ヶ月 | 10%増 | 3,3kg |
生後36ヶ月 | 10%増 | 3,7kg |
生後48ヶ月以降 | 10%増 | 4kgkg |
トイプードルも膝の不具合や心臓疾患といった体長面や幼少期からの過食による肥満によって体重が増加傾向になっています。
よって体重の増量理由はほぼ全て「脂肪」になります。
トイプードルの適切な飼い方は動物病院へ相談するべきか?
獣医師は万能ではありません
色々なサイトや本で「健康相談は獣医師へ」と書いています。
私は違います。
何人もの獣医師やいくつもの動物病院に愛犬を助けていただいた経験を持っています。
同時にいくつもの動物病院であり、獣医師に誤った対応により愛犬を殺された経験もあります。
日本という国は「国家資格」に弱すぎませんか?
しつけに関してアドバイスをする獣医師もいます。
これって小児科の先生が子育て指導していることと一緒ですよね。
馬鹿にはしませんが「扱い慣れていること」と「指導に対して適切な知識と経験があること」は違います。
これは、ブリーダーやドッグトレーナーが、犬の病気に関して助言しても「対応の指示」をしてはいけないことと共通課題だと思っています。
当然、指導の際の目指すレベルにも違いがあるでしょう。
運動管理や体型管理を本当に素晴らしいレベルでできるならば「ドッグショー」は獣医師が担当したら全て最高の結果を得られることになります。
現実には、それができた獣医師は数名です。
正しくは、目利きと繁殖で成功しています。運動管理としつけは別物でした。
過大評価したら獣医さんが可哀想です。
それでなくても獣医医療は対象が幅広くなり、長生きによる病気の対応もより深い知識が必要となっています。
治療に専念させて差し上げましょう。
餅は餅屋です。
病という「マイナス状態」を「病気ではない」ゼロ以上の状態に戻すことが獣医師の役所です。
感謝に絶えない行為です!!
余談ですが、
微妙なラインがあり、それは「帝王切開」です。
麻酔がかかっているので取り出した子犬を獣医師は「責任」において蘇生させたがります。
しかし、出産時の子犬の蘇生は、経験も必要ですが「センス」が大きな割合を占めます。
私も多くの繁殖をしていた時期があります。
帝王切開ももちろんありました。
親しい動物病院でしたが、それでも開腹後に直ぐには渡してくれません。
「先生方はお忙しいでしょうから、少し私もお手伝いしますよ。」とおだてながら受け取り1頭大急ぎで蘇生させ、預けて大丈夫そうになったら「あれ?なんかこの子は元気だったみたいです。そちらの子も一度見させてもらっていいですか?」と次の子を蘇生させる、、、これを繰り返し全員の命を確保するのでした。
院長は渋い顔で、私の見えないところで「刺激が弱いんだよ!!」とスタッフを怒っているのですが、その光景は毎回でした。
院長1名、スタッフドクター4名なので小さい病院ではありません。平和に切り抜けるのも大変でした。笑
おそらくそのまま病院側に任せ、待っていたら結果は良くて半分、きっと全部死亡だったでしょう。
お薦めの相談先は?
どこでしょう?
わかったら私にも教えてください。
国内に数名いる一流のブリーダーは、多くの点でトイプードルの達人です。
しかし、そんな彼らも家庭内に愛犬を置いているわけではありません。
ブリーダーによって考え方に大きな違いがあり、統一されたモデル的な知識は見られません。
正に「家族」として飼っている環境において助言ができる存在は少ないです。いないのかもしれません。
自分のやっていない対応があったら「参考にして」しばらく続けてみる、そんな考えが良いのかもしれません。
真似る際には「一旦自分のやり方は手放す」と確かな適性が分かります。
トイプードルとの暮らしで本当に大切なこと
主食がドッグフードならばと仮定してお伝えします。
本当に現在のドッグフードは栄養面に問題は無いと思います。
栄養面で不足がないどころか「食後の荷重負担が少なく、消化に負担がかからないように」という視点で満腹指数で8割以下で必要栄養価が満たされるように作られています。
だからこそ、可愛いからと多めに与えると過食となり、太りすぎたトイプードルが誕生します。
*ドッグフードに記載されている「給仕量の目安」にはトリックがあります。太っているトイプードルは、目安表では次の体重のワンちゃんの計量に以降するので更に多い量を与えてしまう点です。
(私にもそんな一面はあります。愛犬のために真剣にダイエットに取り組んでいます。リンクを書きにシェアします)
私の経験では、トイプードルの食事の取り方は
食べる | 残す(半分食べる) | 食べない |
◯ | △ | ✖️ |
上記のサイクルを繰り返すのが基本と思っています。
それが心配であるならば、1回の量を控えめにして「常に愛犬に不足感を持たせる」、つまり空腹感が残るように調整して管理をすることでしょう。
そうすれば、きっとあなたのトイプードルも毎回の食事を完食してくれることでしょう。
悪い対応は「食べ切った。足りないと可哀想だからもう少し足してあげよう!」と飼い主が食事を追加する様な行動はアウトです!
ドッグフードを含めて、今回の記事がみなさんのトイプードルライフのお役に少しでも立てる情報になっていれば幸いです。